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HowTo企画

『背景編』

 

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背景一回目「背景は大事ですよ」
背景二回目「水平線のかなたには」
背景三回目「一点を透視する」
背景四回目「二点で透視する」
背景五回目「三点透視、俯瞰と煽り&アイソメ立体」


背景四回目「二点で透視する」

四回目は二点透視図法の解説をいたします。
これを覚えると学校が描けるようなりますし、摩天楼も描き放題です。(根性があればですが)
二回目の水平線と三回目の一点透視の概念をつかんでから読むと理解が深まるかもしれません。



■二点から見るってなんだ?

一般的に「透視図法」と聞くと、この二点透視図法を思い浮かべる事も多いのではないかと思いますですね。
水平線の二点の消失点からの導線を使って物の大きさをリアルな感じに描く図法であります。
この図法は垂直線のみが真っ直ぐで、横方向のラインは全て消失点に収束します。


図17-1 二点透視の箱

野外の建物を描くときもありますし、室内の物を二点透視する事もあります。


野外二点透視


室内二点透視

両方とも、水色の線が水平線、赤の線が消失点から出る導線です。
ちなみに、両方の絵とも、画面外のかなり遠くに消失点があります。

結局、室内、室外ともに、全ての四角い物が消失点からの角度に準拠するというのが良くわかると思います。
同じ角度の四角い箱はどの位置にあっても、同じ二点の消失点から出る線分で表す事ができます。

では、角度がちょっと違っていたらどうするかと言うと、位置をずらした別の消失点を使います。


図17-2 複数消失点

ビル街などは、まったく同じ角度に並んでいる事は、京都か札幌でもないかぎり、あまりありませんので、道なりに消失点をずらすと、それっぽくなります。
ちなみに、ビル街の自作背景を入れた同人ソフトというのはあまりないですな。
なぜかというと、恐ろしく手間が掛かるからです。
字書きの人は気楽に「ビル街ねー」とか発注してしまいがちですが、難易度はべらぼうに高いので注意注意。
同人ソフトでサイバーパンクSFの作品があまりないのも、未来ビル街を描かねばならない為だったりしますぞ。



では学校を描いてみましょう

学校のデータ

まず、学校のデータを集められるだけ集めます。
インターネットで画像を集めたり、本屋さんで建築資料をあたったりします。
鉄筋コンクリートの建物というのは、土台があって、その上にコンクリート柱を立て、縦横に梁を張り巡らした構造になっていて。その構造の間に天井板をはり、壁をはり、床をはる構造になっています。

背景を描くようになると、こういう無駄な知識が増えてたのしいですね。


@ラフをきる

すんごい、いい加減なラフをとります。
四階建てで、教室ブロック列が六、奥側に屋上に出る建家が乗る、とか、適当で良いので描いておくと、作業が進めやすいです。

A導線張り

建物に合わせて水平線と導線を引きます。
消失点は画面外の結構遠くにあります。

B外形を取る


C対角線を使って分割する

対角線を引いていき、窓の面の壁を分割していきます。
対角線の合わさった所に垂直線を引き横に二分割、消失点からの線分を伸ばして縦に二分割します。
もう一回同じ事を繰り返して縦横四分割します。


中が二教室だと寂しいので、対角線をつかって、奥側に、もう一ブロック増設します。
もはやラフ絵のやくめは終わったので表示を消しておきます。

D屋上建家増設

端のブロックに上方向に一つ、分割法を使って増設します。
なんか、これだけ見ると建築現場の足場みたいですね。

E柱を立てる

柱を立てます。
柱の位置は、分割した線が柱の真ん中に来る事を注意しましょう。


ちなみに、柱は一本作れば、あとはコピーして


導線に合わせて縮小することで、パースを揃えられます。
厳密に言うと、少々狂うのですが、まあそれほど気付かれる部分ではないので、適当にやりましょう。
設計図面ではないので、らしくみえれば問題ありません。

F窓壁をはる

ドロー系だけで出来る裏技なんですが、平面の壁をまず作り、その後[歪曲]ツールを使って導線にそって変形させるとあっというまに、学校の出来上がりです。(FireWorks。イラストレータでもそれっぽいのがあるのですが、自由度が足りないので難しいかも)

G色々いじって完成!

導線を頼りに色々いじります(笑)
ねちっこく描き込むほど、それっぽくなって行きます。
さらにゲームで使う場合は、ペイントソフトに持って行って、空やら地面やら木々やらを足します。


二点でも使えるパスの結合テクニック

よく調べたら、この方法って、ブーリアン演算と呼ばれる物らしいです。
3Dでよく聞く演算なんですが、2Dのもブーリアン演算なんですなあ。
パスの結合よりは偉そうでいいですね。


あと、上面などは消失点からでる三角形を重ねて「公差」で打ち抜くと、簡単に正確な物ができます。




■今回の結論「二点透視は根気勝負」


 というか、結局背景とは、どれだけ根気よく画面内の物を描けるかが勝負であって、あんまり才能とかいりませんですよ。
 二点透視図法をマスターすれば、大体の背景は文句なく書けるとおもいます。
 三つか四つ複雑な建物を造れば、だいたいの勘所が解るとおもいます。



さて、次回の背景講座は「三点透視、俯瞰と煽り」をやりたいと思います。
あんまり使われない図法なんですが、覚えておいて損はないです。

文責:サカナ・ノベル


背景一回目「背景は大事ですよ」
背景二回目「水平線のかなたには」
背景三回目「一点を透視する」
背景四回目「二点で透視する」
背景五回目「三点透視、俯瞰と煽り&アイソメ立体」

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