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同人ゲーム制作を語らうゆっくりとしたメディア

すろ〜ふ〜ど
HowTo企画

『文章作法編』



■ごあいさつ■
はじめまして。
サークル「グリーンティミルク。」の漣 夏海と申します。
今回はちょっとしたご縁により、同人ゲーム制作者さんむけのHowTo記事を書かせていただくことになりました。
グリーンティミルク。って何? そもそもアナタって誰なの? ……という方はサークルのサイトを開設して
おりますので、よろしければご覧下さいませ。

わたしがこの記事で書かせて頂きますのは「はじめての文章作法」なるものでして、ごくごく基本的なお作法に
ついてのお話となります。

これはノベルゲームシナリオを初めて書く、という方へ向けての講座でして、今までにゲームシナリオを一作も
書き上げたことのない方、これから書いてみようと思っている方へ向けての内容を想定しております。
「キャラクターとかストーリーには自信があるんだけど、どうも読みにくいかも……」とか
「書き始めてはみたものの、文章がしっくりこない」といった悩みをお持ちの方の手助けになれば幸いです。

このページを開いている皆さんの頭の中には、おそらく血湧き肉躍るようなストーリーや、魅力的なキャラクター、
今までに見たことのないアイディアなどがあふれていることと思います。
でも、せっかくの感動的なシナリオや、キャラクター達の活躍を、伝えたいことを伝えきれなければ、
面白さが半減してしまいますよね。

思ったより、自分の言葉というものは他人に伝わりにくいもの。
そこで、伝えたいことを少しでも相手に伝えやすくするための「コツ」を書かせていただきます。

先に申しあげておきますが、これが絶対のルールである! というわけでは決してありません。
あなた方それぞれの作風や、好みもあるでしょうし、それこそ好きに書くのが一番いいと思います。
ただ、以下に記すことは頭の中に置いておいても損はないと思いますので、さらりとお読み下さいませ。




■書きたいことを整理しよう■

これは、「ストーリーの構成」「プロット作り」などにも通じるのですが……

いきなりシナリオに手をつける前に、

その作品で表現したいこと(テーマ)は?
この場面で表現(演出)したいことは?
この文章で表現(描写)したいことは?
……といった、自分が書こうと思っていることを、どんな小さな事柄でも良いので書き出してみましょう。

作品、もしくは各文章が書き上がったら、そのメモに書いたことをきちんと書き込めているかが確認できます。
面倒に思えるかも知れませんが、シナリオ作りで一番大事な「文章で何かを表現する」ということができているかどうか、自分で振り返ったり、これから書く部分の設計図や道しるべにもなります。




■漢字は「ひらく」■

パソコンで文章を書いていると、なんでもかんでも漢字に変換してしまいがちですが、案外ある程度漢字を「ひらく」ほうが読みやすくなる場合があります。

例を示してみましょう。
AとB、どちらが読みやすいでしょうか。

A.光が射して来た。真由美は其れが眩しくて少しだけ目を瞑る。其方の方から誰かの声が聞こえて来た。
B.光が射してきた。真由美はそれが眩しくて少しだけ目をつぶる。そちらのほうから誰かの声が聞こえてきた。

ぱっと読んでみてください。
よりB.の方が読みやすいのではないでしょうか?

といっても、どの文字をひらがな、どの言葉を漢字にするべき、といった決まりなんてものはありませんので、例えば上記の場合ならば「瞑る」を漢字のままにしておいたり、「まぶしくて」とひらがなにしたりと、お好みで使い分けた上で、読みやすいとご自分で感じたものを採用してください。

紙の上に印刷されたものをじっくりと読む小説とちがい、ディスプレイ上で「見る」ように読むテキストは、漢字の量をある程度少なめにした方が、より読みやすいのではないかと思われます。
かといって、ひらがなばかりでもなんだかよみにくいぶんしょうになってしまいますよね。
↑こんな感じに……。

文章の指南本などでは、「漢字は一つの文章につき、三割ぐらいだと読みやすい」と書いてありましたし、私自身が文章を読み書きしているときもそのぐらいの割合が一番読みやすいと感じております。 よろしければ参考にしてください。

ただし、物語の世界観によっては漢字を多用した方がより「らしい」雰囲気を出せる場合もありますので、よく検討してみましょう。




■ワンセンテンスを短くしてみる■

次の「句読点」にも通じますが、ひとつひとつの文章は、慣れないうちは短く区切ると読みやすくなります。

A.学年がひとつ違うと会話することすらほとんどなく、結局いつも彼の横顔を見ているのが精一杯で、たまに言葉を交わせると一日中、胸が幸せでいっぱいになったものだ。

B.学年がひとつ違うと会話することすらほとんどなく、結局いつも彼の横顔を見ているのが精一杯だった。たまに言葉を交わせると一日中、胸が幸せでいっぱいになったものだ。

一つのセンテンスに詰め込まれた情報量が多いと、読むときに「その文章で何を伝えたいのか」がわかりにくくなってしまいます。
その文章ごとに、読者に伝えたいことが何なのかを確認しつつ、区切りを考えてゆきましょう。




■句読点を適度に入れよう■

文章は、区切りのいいところで句読点を入れるとリズミカルに読めます。
特に、漢字や用語が並ぶところは短く区切った方がより読みやすいかも。

A.だがその名を得られたことで少女には彼が一瞬の幻やかげろうのようなモノではなく目の前に生きているひとなのだという実感を得られたように思えるのだ。

B.だが、その名を得られたことで、少女には彼が一瞬の幻や、かげろうのようなモノではなく、目の前に生きているひとなのだという実感を得られたように思えるのだ。

A.の方が息詰まるような感じがしませんか?
音読してみて、自然に区切れる箇所で句読点を入れるようにしてみると、より読みやすいものになります。

ただし、入れすぎてもこまぎれのような文章になってしまい、読みにくくなってしまうので注意しましょう。
↓こんなふうに……

C.だが、その名を、得られたことで、少女には、彼が、一瞬の幻や、かげろうのようなモノでは、なく、目の前に、生きているひとなのだ、という実感を、得られたように、思えるのだ。




■正しい言葉・日常の言葉を使おう■

ものの名前や熟語・ことわざに限らず「てにをは」が間違っていると、読みにくいだけでなく、まるっきり意味が通じない文章になってしまいます。
また、凝りすぎた比喩表現は、「結局その文章で表現されているのは何なのか」がわかりにくくなってしまいます。

文章を書くことに慣れていないうちは、日常では使わない言葉は避けた方が無難です。
最初のうちは、とにかく素直な言葉で文章をつづってください。

とはいえ、ここは突っ込み始めるときりがない上、わたし自身も時々とんでもない勘違いをした言葉の使い方をしていることがありますので多くは語りますまい。

習慣的に辞書を手元に置いて、わからない言葉はもちろん、よーく意味をわかっているつもりの言葉も、いちいち調べてみることをおすすめします。

ちなみに、通常の国語辞典の他に、類語辞典もあったほうが後々なにかと便利ですよ。




と、今回はここまでです。
上に書いたようなことを頭の隅に置いて、とりあえず文章を書いてみてください。
「視点の主体」とか、まだ説明したりないところもありますが、それはまた別の講釈。

次回は、「ディスプレイ上で読む文章」ということを想定したお作法について書いてみようと思います。
お楽しみに。


文責:漣 夏海(グリーンティミルク。)
「はじめての文章作法」その二へ続く

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