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すろ〜ふ〜ど
HowTo企画

『シナリオ編』

はい、というわけで第二回目は、同人ゲームの基礎とも言える、
『シナリオ』についてお話しようと思います。

ですが、今回シナリオを担当する半端マニアソフトのライター、渡辺僚一は、
面白い面白くないはさておき、そそり立つ個性という部分ではあまり類を見ない程の異端であり、
広く参考になるかどうかは正直わかりません。

というわけで、今回はシナリオ担当の渡辺と、ツッコミ&補佐担当の木緒なちの二人で、
実際に書いてもらった短編シナリオを見ながら、制作におけるシナリオのあれこれを
ポイントに分けてお伝え出来ればと思います。

ではまず、渡辺僚一のコメントからどうぞー。
ウイッス! 『冬は幻の鏡』『空の上のおもちゃ』『コミックデイズ・H』の
シナリオを書いた渡辺僚一です。

シナリオ講座的なことを書いて欲しいというのでそういうのを
ファッキン書こうと思います!うおおおっ!

……とは言ってもなぁ。
一応、職業ライターだけど、書評やコラムやインタビューが中心で、
シナリオの仕事は少ししかしたことねぇし……。

というわけで、僕がどんな風にシナリオを書いているのか気になる人もいると思うので (他のシナリオライターの人がどんな形式で書いているのかな? という意味で興味を持つ人がいると思うので) 未公開のオリジナル短編ノベルゲームのシナリオを3回に分けて公開し、その中でポイントには注釈しますんで、 興味のある人は読んだらいいんじゃないかと!

ということでした。
以下コメント部分では、こうやって赤の枠と青の枠に囲まれたコメントが登場しますが、これが渡辺僚一(赤)・木緒なち(青)それぞれのコメントとなりますので、
ご参照いただければと思いますー。
 
()このカッコ内の文章はスクリプト担当さんや絵描きさんやその他のスタッフへのメッセージや、自分のためのメモです。
普段は、口頭で伝えたり、印刷した紙にペンで走り書きするようなメッセージも文中に付け加えてあります。


ウィンドウの文字数は30W×3Lを想定。
フルボイスゲームで全年齢です。

▲ウインドウの文字数指定は忘れずに。

123456789012345678901234567890

こんな文章を、コメントアウト(ゲーム上では表示されない状態)して
目安として書いておくのもいいですね。これは、自動的に折り返す形式でも、
字切れを意識する為にいい手法かと思います。


タイトル
・『テトラポット少女の自虐コレクション』


(ギャグ→シリアス→ギャグの後味いい感じで)
(予想外の展開を中盤後半で連続させてテンポ良く)


▲最初から、ストーリーの構成概要を端的にまとめておくと、
 途中で脱線せずにいいと思います。

登場人物
近江裕太♂ 近江君 学生服 やや体育会系の生意気げなツラで。
越智弥生♀ 越智さん ブレザー 折り幅の大きいプリーツ。髪は背中くらいまで。元気よさげなツラで。

(「越智さんが話す謎の物語」と「越智さんと近江君の会話」で進行。
「越智さん謎の物語」の時は、そらちゃのB面的な絵を全面に出す感じの立ち絵ナシで。
「越智さんと近江君の会話」は普通のウィンドウの立ち絵あり。近江君視点なので近江君の立ち絵は必要ナシ。
会話場面は途中まで絵的に淡々と進むので、立ち絵をアップにするとか、動かすとかの変化が欲しいかも? 誰か何かアイデアがあれば)


短編ゲームなのでキャラクターは二人で。なるべくお金がかからないようにしたい、というのも二人にした理由の一つ。声優さん四人に頼むと、時間がかかったり日程が合わなかったりで、収録に二日はかかる可能性がある。だけど声優さん二人なら多分一日で終わるからスタジオ代も安くすむ、ビバッ!

必要な立ち絵は基本的に越智さんのだけなので、
絵描きさんの負担が少なくてすむ、これまたビバッ!

<<本文ここから>>

▲簡単な事ですが、スクリプトの人にはどこから本文かわからない場合もあるので、親切に対応する意味でもどこから本文かを示すのは大事です。


【越智さんの話その1】

(背景、大都市。ニューヨークっぽい感じ? デリーでもシドニーでもヨハネスブルグでも大都市ならどこでも。書きやすい絵で、資料が手に入りやすい奴でいいです)


少女「んしょ、んしょ」

(雑踏の中を7〜8歳くらいの可愛らしい東洋人の少女が、大きな革張りの高級そうなトランクを運んでいる絵)


少女「んしょ、と」

(老夫婦が少女に近づいてくる。老夫婦と少女が会話している絵を一枚。少女の部分をアップにしたり、老夫婦のところをアップにしたりして分割して使おう)


▲シナリオの人は演出を頭に入れて書くと、後々の作業が非常に楽になります。
 半端の場合、こうやって渡辺さんの独り言が時々入るのを、
 演出(そらちゃフユガミでは自分でしたが)が画像化したり、あるいは
 自分から提案し、了解を得たら組み込む、という形を取っています。

 あと、演出はスクリプトの要素が非常に絡んでくる為、
 スクリプターの人の演出把握能力と実行力も大事な要素ですね。
 (半端では、スクリプターのO-Showさんがその役割になっているので、
  実質演出が2人体制で動かせる形になっています)


夫「運ぶの手伝ってあげようか?」

少女「いい」

婦「遠慮しなくていいのよ」

夫「ずいぶん大きいトランクだけど何が入ってるのかな?」

少女「核爆弾」

▲なんじゃそりゃ、と相手に思わせたら冒頭の引き込みは成功です。

老夫婦「えっ?」

夫「それはどういう冗談なのかな?」

少女「ばいばい」

(画面真っ白に)

(爆発したような演出があればそれを)




【場面転換。越智さんと近江くんの会話】

▲これも細かい事ですが、シーンが変わる時を示す一文には、
 種類の違うカッコを使う等、見やすさを工夫するといいですね。
 あとで置換しやすくなるし。

▼あと、現状では背景の指定も一緒になってますが、
 本来はこの辺の指定は<背景:テトラポットのある砂浜> というように、
 これも別の書き方にしておいた方がわかりやすいですね。
 BGM、SEの指定なんかも含めて書く人はなおさらです。



(背景・テトラポットのある砂浜)

越智「特殊能力を持った少女がトランク型核爆弾を爆発させた! 
これが10年前にあの国で発生した核テロの真相!」

越智さんはカンフーの演武をしているみたいに、
拳をぶんぶん振り回しながら、
びっくりするくらい力強く言い切った。
そして、
どうだ! 
という顔で俺をじっと見る。
いや、その……そんな期待に満ちた顔で見られても……。
困る。

越智「びっくりしたでしょ?」

ええ、びっくりしましたとも。
そんなに親しくないクラスメイトに変な話を力いっぱいされて、
衝撃を受けている真っ最中ですよ。

▲台詞と地の文の間は、空行を入れると読みやすいですね。
 ただし、この辺のルールについては、使用するスクリプトエンジンにもよるので
 一概にOKとは言えません。

こんな田舎の高校生が、
どうしてそんな話の真相を知ってるんだよ!
絶対にありえねぇ。
できれば越智さんを無視したいけど、
砂浜に二人っきりというこの状況で、
そんなことできるわけがない。
……はぁ。
なんか話さなきゃいけないんだうな……。

近江「どうして越智さんが、
そんな衝撃的な真相を知ってるの?」

越智「それはね」

よくぞ聞いてくれましたとばかりに、
ふふふっ、
と越智さんは意味ありげに笑うと、

越智「頭の中のフクロウ君とキツネちゃんが教えてくれるの!」

……脳内にフクロウ君とキツネちゃんが居住してらっしゃる?! 
なんでフクロウとキツネなんだよ! 
文鳥と柴犬じゃダメだったのか? 
ってそんなことはどうでもいい!
うっ、うわぁ。
……こっ コイツ 不思議ちゃんだぁ!
いやいや、まてまて、俺よ。まつんだ、俺よ。まてまて。
越智さんが不思議ちゃんだなんて話は、
クラスの誰からも聞いたことがないぞ。
……俺をからかって遊んでるんじゃないのか? 
もしくは超高度な冗談とか、無意味な嘘とか。
越智さんはそうやって男子をからかう、
小悪魔ちゃんタイプな女子なのかもしれん。

近江「それって冗談……」

越智さんは威嚇するように、ガッ、と砂に踵をめり込ませた。

越智「話が長くなるけどいい?」

近江「ちょっと、あの、いやなんだけ……」

越智「それじゃ聞いてね!」

(これから続く長い台詞は一方的に越智がまくし立てている、という演出のためのものなのでウィンドウからはみ出るとか、なんかそういう演出があれば。声優さんには早口で一気に読んでもらうのが理想)

越智「光次製紙工場の敷地の奥には 小野口ラボって呼ばれてるバイオ系の研究所があるんだ。危険性が高い研究をしているから通 称ホットゾーンって呼ばれているBSL-4のラボは日本じゃ東明感染研究所と高理大学研究所の二カ所にしかないことになっているけど、本当はもう一つあって、それが小野口ラボ。東明感染研究所と高理大学研究所はBSL-4の条件を満たしているけど 実際はBSL-3で使用されているから……」

それっぽくデタラメを書いてるだけなんで気にしないで

▲とは言え、ハッタリを説明出来るだけの基礎情報は作っておくようにしましょう。
 渡辺さんもその辺は毎回必死こいて図書館に通って作ってます。

……なっ、なんなんだいったい?
突然、専門用語を羅列しはじめた。

越智「厳密に言うならBSL-4が運用されているのは、日本じゃ小野口ラボだけってことになるんだ。小野口ラボの最大の特徴はDNAやRNAを構成している塩基をつなげて、ゲノムの制作を可能にするコンポーザーを持っていること」

何を言っているのか、まったく理解できん。
……もしかかして越智さんって、
不思議ちゃんを超越した場所にいるという、
危険すぎる存在であるところの、電波さんなんじゃ……。
歌うように喋り続けている越智さんを見ていると、
背中に冷たい汗がじんわりと浮かんでくる。
……電波さんに絡まれて警察ざたに。(イメージカットをラフな絵を、ぱぱっ、って感じで入れて。以下のも同様に)
……電波さんに気に入られて同じ世界へGO!
……電波さんを怒らせてナイフでブスリ!
嫌な想像ばかりが脳裏をよぎる。
……なっ、なんとか事態を改善しないと、大変なことになる!
俺はビシッと手を上げて、
越智さんの狂い咲きサンダートークをストップさせた。

近江「あのさ、何を言ってんのか全然わかんねぇんだけど」

越智「あっ ごめん!」

越智さんは申し訳なさそうにペコペコした。

越智「簡単に言うと。……ん〜と。
製紙工場の研究室で改造人間が作られてる話。
ってことになるのかな」

近江「かいぞうにんげん!!」

越智「うん、改造人間」

……改造人間!
戦慄を禁じ得ない強烈な響きだ。

越智「小野口でそんなの作ってるなんて驚きだよね?」

確かに驚きだ、別の意味でだけどな!
なんで製紙工場が人間を改造しなきゃなんねぇんだよ!
用途不明すぎるだろう、それ!
物凄い勢いでかみすきをさせたりしてんのか?

近江「……えっと、違うかもしんないけどそれって、
仮面なバイク野郎とか、機敏に動く貝殻の隊とか、
最も終ってる兵器である彼女とかみたいのか?」

越智「んっもう、漫画の話じゃなくて、
本物の改造人間の話をしてるんだよ?」

越智さんのニッコリ笑顔が、恐怖となって俺の胸に染みこむ。
なんだよ、本物の改造人間って!

越智「理解してもらったところで話を続けるね」

いやいや、理解なんてこれっぽっちもしてねぇって!

越智「小野口ラボの大型で高性能なコンポーザーは凄い数のプロセスにも対応できる優れもので、胚の生成が可能な高レベル。多分ゲノム制作に関しては世界一の性能なんじゃないかなアレ。それでね……」

越智さんの話を聞き流しながら、俺は力無く頭を抱えた。
どうしてオレは電波女と二人っきりだなんて、
そんな危険すぎる状況におちいっているんだ……。


<<回想シーン>>


(白黒とかセピアとかで、回想シーンとわかる演出を頼む。時間を入れるとか?)

(背景 海沿いの道)


近江「あれ、越智さん?」

越智「あっ、近江君」

近江「何やってんの?」

越智「近江君こそ」

近江「俺は帰り道。越智さんは普段、
この道を使ってないよね?」

越智「散歩しながら、体の秘密について考えてたの」

近江「かっ 体の秘密!?」(エロビックリした声で)

▲ボイス有りにする場合は、こうやって台詞の前後にどう喋るかを記載しておくと
 あとで指定する際に面倒にならずに済みます。

かっ、体の秘密といったアレだ! おっ、女の子の秘密だ!
あの……その、体が丸みをおびてきたりだとか、
ムラムラにどうやって決着をつけたらいいのかわからなくて、
馬のぬいぐるみを股間に無闇に押しつけたりだとか、
じゅん、とか、びくんっ、
とかいう擬音を四六時中ならしまくったりするとかいう、
伝説のアレだ!

全年齢なんでシモネタはこのくらいで

▲意外に思われるかもしれませんが、本人には一応そういう意識はあるようです。

越智さんは恥ずかしげに、胸の前で指をもじもじさせ、

越智「近江君になら話せそうな気がするんだけど、
聞いてくれないかな?」

近江「おっ オレでよければぁ!」

やっべぇ〜! もっ、もしかして大人になっちゃうのか俺〜っ!
二段飛ばしで大人の階段を登っちゃうのかよぉ!


<<回想終了>>

▲回想シーンが終わったら、ちゃんとこうやって印を入れましょう。
 いつまで経っても回想の終わらないシナリオ、初稿では結構あります(笑)。


……俺のエロ好奇心が元凶で二人っきりになっちまったのかよ!
アホすぎる。死ね、俺! 
今すぐ死ね!
砂の飲み過ぎとかで死ね!
……はぁ。
自分が悪いんだから、自分でどうにかしなきゃないけないよな。
助けてくれる人なんていないわけだし。

近江「よくわかんないだけど、
その改造人間が核テロに関わってるわけか?」

越智さんは屈託なくうなずいた。

近江「で、改造人間ってどこにいるの?」

越智さんはテレテレと恥ずかしそうに己を指さして、

越智「ここに」

NOOOOO!
照れているのが、マジでそう思ってるっぽくて凄くイヤだ。
怖すぎて知能がゴリラレベルまで退化しそうだ。
越智さんは不満げに、ぷぅ、と頬を膨らませた。

越智「あー、信じてないなぁ〜」

近江「……あのなぁ」

ええい、もう、こうなったらあとのことなんて知るもんか!
電波さんを怒らせて面倒なことになってもかまいやしねぇ!
言わずにはおれんですよ! ふざけんな、ですよ!

近江「改造人間がリアルワールドにいてたまるか、ボケ!」

越智「信じてくれないんだったら、証拠を見せる!」

……?
証拠?
越智さんは四つん這いになって、
犬のように砂をざっざっと掘り始めた。

越智「どこに埋めたっけなぁ。……あった、あった!」

砂の中から太く大きな骨を取り出し、自慢げに付きだした。

(骨は大腿骨で。骨を持っている立ち絵を用意するか? イベント絵を出すか? それとも立ち絵を出さずにごまかすか?)

越智「ほね、人の骨、人骨」

……へっ?

近江「人骨?! なんでそんなもんが!」
越智「話が長くなるけどいい?」
近江「ちょっといやなんだけ……」
越智「それじゃ聞いてね」

越智さんは、ピュン、と骨を振り回して微笑んだ。

越智「3年前、研究室から逃げ出した改造人間がいて……」


〜つづく〜



というわけで、思わせ振りな所で第一回を終了致しましたが、如何だったでしょうか?
伏線や意味不明の単語が多く、現状では何のことかわかりませんが、
これはある意味、渡辺さんと自分たちスタッフの付き合いが長いからOKなのであって、実際に制作をされる際は、きちんと設定資料やおおまかなプロット、登場人物表までをセットで用意する、というのを気を付けてくださいませ。
(外部からのシナリオ依頼とかになるとなおさらですよ)
※一応、渡辺さんも設定資料等は毎回作成します。念のため。

さて、一応自分もライターの端くれですので、簡単にまとめに入らせていただきますが、いわゆる今回のような『導入』にあたる部分では、とにかくその箇所において読み手を引き込む、面 白いと思わせるようなシーンを用意するといいと言われます。

わざと意味不明な状況を作る、ショッキングな冒頭にする、突然Hシーンから入る、まあ色々とその手法はあるかと思いますが、いきなり何もない日常からスタートして読み手を引き込むというのは至難の業です。
(そういう意味では、月姫ってホント巧かったなあと思います。いきなり部屋ひび割れてんだもんなあ)


次回、二回目では、導入部分が終わり、中盤の盛り上げ方を中心に、
渡辺僚一のシナリオを基に、お話ししていきたいと思います。

それでは、また次回お会いしましょうー。

文責:半端マニアソフト



第二回に続く

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