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HowTo企画

『ディレクター編(2)』

ディレクター編(1)






あなたの属性はSですか?それともMですか?

いきなり何の話から始めるんだと思われるかもしれませんが、
実はディレクターという仕事を語る上において、
この質問は結構重要だったりします。
試しに、あなたの周りにいるディレクターに聞いてみると、
きっと、Mな人が多いのではないかと思います。

極論ですが、場をきちんと作ることの出来るディレクターというのは、
総じてM属性が多いです。それもドM
虐げられ、罵倒され、理不尽に泣かされても、
そんな中頑張ってる俺ってすごい、と病的な脳内ポジティブ変換が
出来る人材こそ、ディレクターにふさわしいと言えるのです。

とまあ、明らかに書き出しに苦心している冒頭はともかくとして、
早速本題に入りましょうか。

今回のテーマは『人間関係的制作環境』です。


■人間関係を円滑にする=仕事が進む

自分が今更言わずとも、他の色んな方が既に言っている事ですが、
ゲーム制作というのは生き物が考えて作っている以上、
モチベーションに大きく左右されるものです。

そのモチベーションの源となっているのは、

・得られる達成感(技術取得含む)、作りたいと思えるテーマ
・一緒にやる仲間との交流の楽しさ、面白さ
・得られる金銭、報酬


大きく分けるとこの3つかと思います。

一番上は、その企画が誰の主導で進められ、決定権が誰にあるか、
またその企画自体が魅力的かどうか等、ハードルの高い物であり、
また一番下はいわゆる『最終手段』なので、ここでは真ん中の
テーマを取り上げていきたいと思います。


■サークルメンバーは皆表現者

ゲーム制作には多くの『役職』があります。

その中でも恐らくメインの構成要素となるのが、
シナリオ・原画の2つと言えるでしょう。

イチから世界を考える『シナリオ』と、
その世界を描き出す『原画』は、
かなり創作性の強い、基幹パートという認識を、
おそらくは皆さんが持っているだろうと思います。

ですが、その他のパートにおいても、
ディレクターが思うよりもおそらくはずっと、
その本人にとっては創作・表現であり、
一番重要なパート だと捉えているケースが多い
のです。

※そもそも、音楽や彩色、デザインやスクリプトといった部分も、
 作品のカラーや表に出す部分の重要性を考えると
 序列なんて物は付けられないはずですし、重要な表現なのですが、
 その件につきましてはまた別の機会に、ということで。

話を戻します。

前述したシナリオや原画というポジションにある人は、
得てして他のポジションについて、軽視…は言い過ぎかも
しれませんが、やや順列を下に見る傾向があります。
そして、その他のポジションの人にしても、
シナリオや原画に対し、敵意に近い感情を持つことが
多々見受けられます。

まあ元々物作りで自分王様な人が集まっている以上、
どうしようもないと言えばそれまでなのですが、
そんな事を言い出してしまっては思考停止。
ここはディレクターこそが、両者の間にしこりを作らないよう、
奮戦する必要が出てくる
のです。


■スタッフ間に順列を作るべからず

ディレクター的立場に居る人は、その本人がどちらかを兼任している場合に
特によくある事ですが、シナリオ・原画を重視し、他のパートをおろそかに
してしまいがちです。これが原因となり、他パートで頑張っている人が
『それなら俺イラネって事か』とサークルから離れたりといった、
崩壊の序曲となっていくわけです。

先程の話の続きになりますが、
そもそもゲーム制作は実に様々な構成要素で成り立っており、
そのどれが欠けても、良い物は出来ません。

むしろ、構成要素の全てが良い具合に噛み合った場合、
そのサークルにはご褒美としての良作が、
もたらされるのではないかと思います。

では、どうすればいいのか。
答えは簡単で、どれが偉くてどれが偉くないといった、何の意味も
もたらさない糞のような思想を捨て、
ゲーム制作における
全ての仕事にきちんと敬意を持つ
ということです。

誰だって、期待されて仕事がしたいと思うのは当然であり、
期待されず、適当にやってと言われるような仕事で良い物が出来るなんて、
まあ万に一つの可能性しかありません。
しかもそれは、いずれはその才能があなたの元を去り、
その才能を重視してくれる集団へと流失する事
を意味しております。

もちろん、制作進行上の優先事項として、
他パートを少し犠牲にしても絵やテキストを先行するケースはあります。

ですが、それはあくまでも大きなゴールに至るまでの途中経過であり、
もし仮にそれでライターや原画家がふんぞり返るような事があったら、
きちんと諫めるのがディレクターの仕事なのです。

こうした事をしっかりやっていくと、適度な緊張感が集団内にも生まれ、
なあなあにならず、良い人間関係が出来るはずです。


■制作にトラブルの種は尽きず

進行における一つの手段として、各パート毎で連絡を取らせ、
その中で進行を任せるようなケースがあります。

つまりはディレクターが不在の状態で、
後でまとめて状況確認を行う、というような形です。

確かにディレクターの負担は減りますし、
シナリオから音楽、シナリオから原画という流れは
人を介さない分だけイメージの伝達がスムーズなのですが、
トラブルの種を生む可能性も非常に高いです。

先程も申しましたように、各パートはそれぞれが『俺が俺が』の
思想になっている場合が多く、そこが緩衝材無しで
いきなりぶつかってしまっては、トラブルになれと言うようなものです。

たとえ面倒でも、必ず各指示・進行はディレクターを通し、
パート間での直接のやり取りは、余程そのスタッフを信頼して
いない限りは御法度
とした方がいいでしょう。

その代わり、ディレクターには愚痴と不満が
思いっきり集中してやって来る事になります。
もちろん、ストレスも半端ではないでしょう。

…ドMでなければ出来ない仕事だと言った理由が
おわかりいただけたかと思います。


■場が出来れば物は出来る(はず)

ディレクターがまっとうな思想を持ち、
その上で各スタッフとのやり取りが出来るようになれば、
間違いなく、そのサークルは道を違えないはずです。

ただ、難しい話として、上に上げたような人間関係も、
『同人でそんなピリピリした関係は嫌だ』と避ける人もいると思います。
まずはサークル自体がどういう目的を持って、
どういう集団にしていきたいのかを確認
した方がいいかと思います。

現状、制作が詰まっているサークルの方は、
一度スタッフの構成とポジションについて、考えてみるのも
いいのではないでしょうか。

次回は『ディレクターの姿勢』というテーマで、
お話ししたいと思います。それでは…。



半端マニアソフト:木緒なち

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