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第二回:ロゴデザイン編


お待たせ?しました。というわけで『なるべくお金をかけずにデザインをしてみようの会』第二回目でございます。つか長い。

前回の終わりで予告致しました通り、今回はデザインの中でも比較的目立つ部分、『ロゴデザイン』についてお話させていただきたいと思います。


■ロゴデザインとは

ゲームにおける看板、それがタイトルロゴになります。

前回でも取り上げました通り、ゲームにおける一番の売りは絵やシナリオであり、それに次ぐ物としては音楽やボイスなどが挙げられると思います。

ですが、それらがいくらしっかりしていても、その前面に配置されたロゴがしょんぼりな出来だと、折角のいい素材が台無しになってしまいます。別 段取り上げられる事が少ない割には、出来が悪いと突かれてしまう物、ロゴとはそういう厄介な物でもあります(笑)。

そうは言っても、ロゴなんて作った事ねえよ、って人が恐らくほとんどだと思います。こんな事を偉そうにのたまっている自分も、元々は映像からデザインに入ってきた外様でして、当初は戸惑いまくっていた物でした。

今回のデザインの話では、そんな人でも何かしらのきっかけを掴んでいただけるよう、ロゴを『作る』手順からお話していければ…と思います。


■ロゴを作る方法

そんなのフォント買ってくればいいじゃんと言う方は、そもそもこの稿を読むまでもなく既にバリバリやってる方だと思いますので、今回は本当にイチから作ってみる方向で考えみようかと思います。(この稿の目的がお金をなるべくかけずに、ですし)

さて、自分はロゴを作成する時、次のような手順を踏んでいます。

1,文字を良く見る
2,文字をひたすら書く
3,文字をひたすら描く
4,スキャニングし、トレースする
5,色を乗せ、効果を付け、調整する
6,完成


で、いくつかの方向性を出した上で、更に調整を加えて決定稿を出す、といった感じです。

この作業を順に追いながら、ロゴデザインの工程を説明しようと思います。


1,文字を良く見る

今回は当サークルの『空の上のおもちゃ』を採り上げてみたいと思います。

このタイトルを、まずは言葉と意味をふまえて、自分なりに解析してみます。

・『空の上』という言葉と、『おもちゃ』という言葉の2つに大きく分けられる
・2つある『の』の文字をどのように処理するか
・難解な漢字が無いので、シンプルでまとまった処理が求められる
・イメージは空色、白、影で濃い青か

まずはこんなところでしょうか。

こうやって、まずは文字列を眺めて、どこをどう書き表し、表に出すのか等、ロゴに起こす前に確認しておく事を自分なりにまとめておきます。これが『見る』作業です。

実際にデザインをする過程において、これらの要素を忘れ、デザインをする方に流れていく事もありますので、メモに書いて傍らに置いておくのもいいかもしれませんね。

2,文字をひたすら書く

さて、次は実際に紙に書いてみます。

とは言っても、まだこの段階ではデザイン的な思考はさほど必要ありません。大きめの紙を用意して、とにかくグダグダと書きまくってください。

一行で『空の上のおもちゃ』と書いたり、
二行に分けて『空の上の
       おもちゃ 』と書いたり(これWinだとズレますね…)、
空の
上の
おも
ちゃ

とか、










等、字の向きや行変えをしたりしながら、ただひたすら書いていってください。

そうしていくうちに、文字の持つ個性や、図形としての特徴に気づいてくると思います。例えば、『上』という字は『空』に比べて、正方形の中に入れた時に空間が大きいとか、『の』の字は円に近いとか、『お』をキレイに書くのが難しいとか…。

そういった『気づき』の部分を、今度はデザインに活かしていく事になります。

3,文字をひたすら描く

さて、今度は文字を『描く』作業になります。

さっき文字をひたすら書いた際に『気づいた』部分を、今度はデザインに起こす過程に上手く活用していきます。

ちょっと話が前後しますが、この時点でもしパッケージの絵が決まっている場合は、そのパッケージの中において、ロゴをどこに置くか、またどういう形状で作ると収まりがいいのかを考えておく必要があります。

これをふまえていないと、後になって様々なトラブルが発生します。 絵の空きスペースは縦長なのに、ロゴはすごく横に長いとか、逆に空きスペースは横長なのに、ロゴは縦長とか…。

そうならない為にも、絵に合わせてみてどう置くのが最適なのか、まず決めて置くようにしましょう。また、これからパッケージ絵を決めるという場合は、ロゴを絵描きさんに提示した上で、いい形に収まるように描いてもらいましょう。もしその辺を考えるのが難しかったり、絵を合わせるのが困難な場合は、ロゴは横2:縦1〜1.3ぐらいの比率で作っておくと後で合わせやすいかと思います。

とは言え、実際にデザインと言われても、どう描いたらいいのかという方もいらっしゃるかと思います。というわけで、 自分(木緒)が実際にノートに書いた物をサンプルとして以下に上げてみる事に致します。

サンプル1

サンプル2

…どう見ても汚い落書きですが、ここから色々と文字をデザインするコツみたいなのを掴んでいくのがおわかりいただけるかと思います。実際、サンプル1と2を比較すると、2の方は何かしら方向を掴みかけているような気もしないではないです(笑)。

文字は縦に長くしたり横に長くしたりと、色々ととにかく試しながら描いていきます。この時点ではまだラフにもなっていないレベルですので、思いついたらまず紙の上に出力してみるのがいいと思います。とにかく、描く事です。

サンプル3

こうして、サンプル3までくると、かなりデザインとしての方向性が固まってきます。ご覧頂ければわかると思いますが、最終形のロゴに近いイメージに○が付けられてますね。ここまで来たら、次はPC上での作業に移行する為、これと思うデザインをスキャニングします。

4,スキャニングし、トレースする


書いた物をスキャナに取り込み、パス等でトレースしていきます。

基本的には取り込んだ後にイラストレーター等のソフト上でパス化するのが一般 的な流れかと思いますが、これは用途やその人それぞれのやり方によって異なるかと思いますので、特に限定はしないようにしておきます。
※空の上のおもちゃのロゴの場合は、イラストレーター上で作業が完結しておりますので、イラストレーター上で以降の作業を行っております。

ちなみにフォトショップ等で画像データとして完結させる場合、印刷物に使う事もふまえて、サイズは縦横長い方に25cmぐらい、解像度は350dpiぐらいで作成するようにしてください。(サイズを小さく作成すると、後になって印刷物に使用する際、拡大した際にジャギーが発生し、みっともない出来になります)

5,色を乗せ、効果を付け、調整する

さて、パスでのトレースが終わったら、次は細かいデザインを制作していきます。ここも実際にどのような工程をふまえてロゴが完成したか、順を追って説明していこうと思います。

トレスしてすぐの状態です。デザイン的な雰囲気はありますが、まだなぞっただけという感じですね。(文字が赤なのは、トレースする際にわかりやすい為です)
まず文字を太くして、周囲に枠をつけます。『しっぽ』がキーワードなので、文字の一部をしっぽのように尖らせました。バックの地球は、今作が宇宙に関連しているストーリーである事から試しに作成してみました。
形状が正方形に近かったので、当初の予定通 り横長に戻し、色の付け方も変えました。
色合いがキツかったので、白と水色を基調にした爽やかな物に変更しました。バックの地球は色が混在していたので取り、変わりに球を目立たない色で置いて、宇宙のイメージを出しています。この時点で、スタッフにも見せて反応を確認しました。
見せた結果、『空の字が読みとりにくい』という意見があったので、崩し方を少し弱めにして、可読性を高めました。この時点で全員の了解が得られたので、完成、ということになりました。

6,完成


…と、こうしてデザインが出来上がるわけです。

細かい技術等はM●N等が出しているレクチャー本を読んでいただくとして(笑)、作成していくまでのプロセスはご理解いただけたのではないかと思います。

ロゴを作成するにはこのようにまず要点をつかみ、実際に沢山描き、イメージを少しずつ絞り込みながらまとめていくと、イメージに近い物が作成出来ると思います。もっとも、 いきなり始めてロゴが作れる程ラクな物ではないのも確かです。実際にそんなにラクに出来たら、仕事として成立しなくなります。

また、ロゴを作る作業はひたすら地味です。絵を描いたりシナリオを書いたりするのに比べ、とにかく同じ文字列だけ、場合によっては一文字のみを描く作業というのは普通 あまり楽しいとは言えない作業です(自分はこの作業がすごく楽しいので、仕事に出来ているのだと思います:笑)。

なので、まずは『文字』に興味を持って、色々描いてみるところから開始してみると色々と発見があるかと思います。


■まとめ

第二回目はロゴデザインをする際の流れを説明しながら、イメージを形にしていく為の方法を簡単に説明させていただきました。

とは言え、前述した通り、いきなり文字を描こうとして、描けるようになるものでもなく、まずは興味を持つところから開始する必要があります。

次回はロゴデザインの二回目ということで、その文字を『描く』部分を掘り下げて、自分なりに文字を弄るポイントや、ロゴの発想のポイント等について書いてみたいと思います。


半端マニアソフト:木緒なち

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